二つ、並ぶ、鳩時計 (宮川)

その喫茶店の店内の壁には、鳩時計が二つ並んでいた。地味に奇妙な光景だ。

 ポッポと、左の鳩時計の中の鳩が一度鳴いた。今鳴いた鳩の名を、仮に名前をヒダリとしよう。ヒダリは勝ち誇ったように言った。

「なぁ、ミギ。さっきからお前はちっとも鳴かへんなぁ?」

「お前はやかましいわ、二つの意味で。さっきからポッポポッポと鳴きよって。」

「妬くな妬くな、それだけ想われてるってことや」

 ヒダリの言うように、ミギは今日一度も鳴いていなかった。彼らは時間に関係無くポッポと鳴く鳩時計の鳩。彼らが鳴く回数は、彼らを鳴かせる存在の想いの数だ。

「なぁ、ヒダリ。そんなにお前を鳴かせてるのは誰やねん?」

「え?それ知ってどないすんねん」

「ええから教えてや、俺、悔しいねん」

「この店のマスターの愛人や」

「え?あのマスター、愛人おるんや…なんかショックやわ」

「マスターたまたまちょっかい出したブスな女がな、マスターのこと想って朝から鳴らしよんねん」

「なんか…健気やな…」

「そやねん。ちなみにミギ、お前を鳴かせる存在は誰やねん、まぁお前、今日全然鳴いてへんけども。」

「そんなん聞かんでもわかるやろ」

「マスターの嫁なん?」

「マスター自身やねん…ほら、ここ、マスターの嫁が店長やろ?マスターが嫁のことを」


店内に

(途中、未完)

0コメント

  • 1000 / 1000

HATO小説部

OQTA HATOの小説をみんなで書き、出版を目指す部活です。