HATOが泣いた夜

「さて、お集まりの皆様。お忙しい中、

    わざわざお時間をいただき、ありがとうございます」

「なんだ、わしはほんとに仕事を切り上げてきたんだぞ」

「俺だって、このあと子供を幼稚園に迎えに行かなきゃ

 ならないんだ。あと30分で、終わるのか」

「大丈夫です。きっちり30分でケリをつけます」

 私は、ゆっくりとそこにいる8人を見渡し、

   わざと5秒の間をおいて、本題に入った。

「今回の事件の鍵は、これ、このHATOにあります」

 私は、部屋の隅にあるHATOを指さした。

「城田翁が亡くなった時、このHATOが2回、鳴きました。

 私は最初、これはたんなる偶然かと思った。だが、そうではなかったのです。そこには犯人  

   の恐ろしい企みが隠されていたのです」

「犯人?それは、どういうことだ。城田爺さんは、心臓発作で亡くなったんじゃないのか」

「いや、そうではないのです。城田翁は、巧妙な犯人の計画により、その命を永遠に奪われた  

   のです」

   一堂に衝撃が走った。

「こ、殺されたというのか…」

「証拠は !?」

「もちろん証拠はあります。いや、論理積み重ねていくと、結論はそれしかないのです。

「順を追って説明しましょう。あの夜、城田翁が遺言を

  残そうと、ここにいる皆さんを寝室に呼び集めた。そうですね。そして、話を始めたその  

  時、HATOが2回鳴いた。いや正確には鳴いたのではなく、泣いたのです」

「泣いた?」

「そう泣いた。涙を流さんばかりに泣いたのです」

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HATO小説部

OQTA HATOの小説をみんなで書き、出版を目指す部活です。